臨床解剖研究会は人体の構造と機能を解剖学的に研究し,その成果を臨床に応用することによって外科療法の開発と発展,画像診断をはじめとする各種診断法の精度向上に寄与することを目的とするものです.
 本研究会は,臨床解剖懇話会を全国的な規模に発展させ,より深い研究とその応用をはかることを目指して平成9年(1997)に臨床解剖研究会として発足しました.以来,年1回の研究集会を重ねており,これまでに21回を数えております.
 これまで,臨床解剖研究会は,多くの方々に支えられ,お力をいただきながら発展してまいりました.しかしながら,これから若手の参加者を増やし,さらに幅広く会員を募り発展させていくためにどのようにしたらよいかについて「臨床解剖研究会のあり方検討委員会」で議論し,その結果の諮問に則り,会則の改訂が行われました.会則の改正でもっとも大きな点は,施設会員を廃止し,個人会員と賛助会員を中心とした研究会となったことです.
 本研究会は,設立当初は施設会員を中心とした研究会であり,多くの世話人の先生方のご助力,ご支援によって支えられてきました.しかしながら,大学等の教室単位が変更されるようになり,また人事異動が多くなり,施設会員が十分に機能しなくなってきたことからの変更です.会員の皆様にはご理解をいただければと思います.
 ヨーロッパ臨床解剖学会のOfficial JournalであるSurgical and Radiologic Anatomy (SARA) をOfficial Journalとすることになりました.以前,臨床解剖研究会記録を出版しておりましたが,この継続は経済的な問題等によって断念せざるを得ませんでした.その代わりとして,SARAに英文抄録を掲載するという形で本研究会の成果の広報を行っております.この抄録のレベルの高さが評価されたものであり,本研究会の成果をより広く広報していくことが求められたものだと考えております.
 クオリティーオブライフやインフォームドコンセントに基づいた患者の立場に立った医療がますます求められていく中で,その裏付けとなる形態学的基盤に基づいた手術法の開発や問題提起に対して,本研究会が広義の外科領域,放射線科領域,解剖学領域からの有意義な討論の場となるために多くの方々のご参加をお待ちしております.